善徳女王 36話#2 ユシンの降伏
(徳曼(トンマン)王女には天授の徳があるのか 私が間違っていたのか?
それとも 初めから違う運命が予定されていたのか? ユシンか? ユシン…)
ユシンの決意を聞き ムンノは深く考え込む
そこへ 毗曇(ピダム)が現れる
『落ち着いたか?』
『私が心配で本を隠したのですか?』
『…また寺へ行ったのか!』
『あの本は私のものですか? どうなのです』
『愚か者め 本当に愚かな奴だ』
ミシルの執務室
宝宗(ポジョン)に 噛みつくように聞く夏宗(ハジョン)
『叔父上が言ったのですか?』
『はい』
話が見えないミシルが 世宗(セジョン)に聞く
『美生(ミセン)が何を?』
『春秋(チュンチュ)の女性の好みが 一族の中では宝良(ポリャン)らしく
宝宗(ポジョン)とソルォン公に 準備するようにと』
初耳の話に驚くソルォン
『え?うちの宝良(ポリャン)ですか?』
『はい 叔父上がそうおっしゃいました』
『美生(ミセン)が言うならそうなのでしょう』
ほかのどんな才能よりも ミシルは弟美生(ミセン)の女を見る目を信じていた
春秋(チュンチュ)が宝宗(ポジョン)の娘が好みだと聞き
夏宗(ハジョン)は不機嫌さを堂々とあらわす
『私の娘たちも美人なのに なぜ宝良(ポリャン)を?』
『ところで 美生(ミセン)はどこに?』
『今日も春秋(チュンチュ)公と外へ』
『春秋(チュンチュ)公もお楽しみか?』
『大男甫(テナムボ)によれば お2人は魂の友だとか』
『アッハハハ…』
思わず笑い出すミシル
宝宗(ポジョン)以外は全員が苦笑した
その魂の友たちは…
『酒も女も娯楽ではありますが 本当の娯楽とはまさにこれです』
『何です』
『行けば分かります』
美生(ミセン)が春秋(チュンチュ)を連れていく同じ場所へ
ムンノも向かっていた
尾行している毗曇(ピダム)は ムンノに似つかわしくない場所に驚く
『ここはどういう場所です?』
『ウハハハ…お前にも教えてなかったな ご覧あれ 中へどうぞ』
息子の大男甫(テナムボ)を気づかう美生(ミセン)
入ろうとすると 見張りの男が遮る
『お2人の札は?』
『この方は私の連れである!』
『しかし…』
『私を知らぬか?』
『存じております』
『では黙っていろ!』
中に入って行く3人を 毗曇(ピダム)が見ている
札がなければ正面からは入れないようだ
毗曇(ピダム)は 大きな水車をよじ登り 中に忍び込む
『いらっしゃいませ あら美生(ミセン)様』
『かわいい女だ アハハハ… 楽しんでいるか?』
どうやらここは 着飾った女たちが接客する賭博場のようだ
息を飲んで辺りを観察する春秋(チュンチュ)
美生(ミセン)は得意げに遊び方を指南する
『簡単です 酒令具(チュリョング)に書いてある数字は1から7
2つの酒令具(チュリョング)を入れて…』
※酒令具(チュリョング):酒を飲む際 罰を与えるためのサイコロ
『分かった 2から14の数字に賭けるのですね』
『天才だ!私のように頭がいい アーッハハハ… 賭けてください』
『私は5に賭けます』
『やった!!!5です アハハハ… 最初から当てるとは!
春秋(チュンチュ)公は幸運な方だ!次は何に賭けます?』
迷わず9に賭ける春秋(チュンチュ)
『では私は5に賭けます』
『9です』
『アーッハハハ…実に運のよいことです
9は幸運を呼ぶ数字なのかもしれない 今度は9に賭けます』
春秋(チュンチュ)をここへ連れて来る前の美生(ミセン)の動き
仲間にある男の行方を聞いている
『ヨムジョンは?』
『開雲浦(ケウンポ)に』
※開雲浦(ケウンポ):新羅(シルラ)時代の国際貿易港
『そうか ならお前に任せる』
『ご心配なく』
『あそこの太い眉のお方に勝たせてやれ 必ずだぞ』
『分かりました』
その男がサイコロを振っているのだった
『12』
『とても信じられない 今日初めていらしたのに何という強運だろう!
何という幸運な方だ では今度は私が12に賭けます まさか今度も…』
忍び込んだ毗曇(ピダム)は 中の様子に困惑している
(なぜ師匠がこんな所に?)
歩き回っていると 人だかりがしている部屋が…
覗いてみると 1人勝ちしている春秋(チュンチュ)と大喜びの美生(ミセン)
毗曇(ピダム)は身振り手振りでそれはイカサマだと春秋(チュンチュ)に教える
すると春秋(チュンチュ)の方から 知ってる という身振り手振りが返ってきた
あ そう? という顔で笑うと 春秋(チュンチュ)も笑い返す
ミシルは 自室でソルォンと話し合う
『ユシンはどうしている?』
『王女と同じく閉じこもっています』
『我々の意図が分かっていないのでは?』
『それはないでしょう』
『風月主(プンウォルチュ)から落とすには
租税の証書を公開しなければならない』
『しかしその場合 我々はユシンを得られなくなります』
ミシルは いつかユシンから返された言葉を思い返す
「セジュ様 未熟な私にそのようなお言葉をかけてくださり感激でございます
ですが セジュが私を得る方法は1つしかありません」
「どんな方法だ」
「私を殺し 遺体をお持ちください セジュが得られるのは私の遺体だけ
生きているうちには無理です」
話を聞いたユシンの母 万明(マンミョン)夫人は…
『お前を手に入れるためだ
我々を味方につけるための足かせをはめる気だ』
『分かっています』
『すでに承知の上なら私たちは何も言わん お前に任せる 自分で判断しろ』
1人心を痛める徳曼(トンマン)
それを心配そうに見守っている昭火(ソファ)
『王女様…』
『ユシン郎(ラン)の言うことは正しい この道は私が選びました
そしてユシン郎(ラン)はもう1つ 正論を言った
ユシン郎(ラン)を得るために 民を捨てることはできない
民を捨てたら… 彼を手に入れることはできない
むしろ 私を捨てるでしょう それは分かっています どうせ…!』
『王女様… もう 心の中で思うことしかできません
ただひたすら姿を見つめ 声を聞く それしかできません』
苦しんでいるのは徳曼(トンマン)だけではない
ユシンは じっと徳曼(トンマン)の執務室の前で立ち尽くしている
侍女が心配して何度も声をかけるが…
『取り次ぎますか?
先ほどからずっと そちらに立たれたままですが ユシン郎(ラン)…』
『いいのだ』
ユシンはその場を立ち去ると 1人草むらに座り
頭をかきむしる様にして苦しみもだえた
その後 決心したようにソルォンのもとへ…
『来たか』
『セジュにお話が』
『決断したか?』
ユシンが立ち去ってから 徳曼(トンマン)に報告する侍女
『帰ったですって?』
『取り次ぎは?』
『取り次ごうとしましたが…
それをお断りになり 長いこと立っておられ そのまま帰られました』
『取り次ぎも頼まず?』
『ええ』
『長いこと立っていた?』
『はい』
賭博場の前でじっと見張っている毗曇(ピダム)
すると 商人のような男がやって来る
『ムンノ公がお見えです 奥です』
ようやく状況が動いたことで 毗曇(ピダム)も 再び中に忍び込む
『お待たせしました』
『戻ったか』
『開雲浦(ケウンポ)へ行ったのか?』
『はい ピルソンが高句麗(コグリョ)から戻りました
情報をたくさん持ち帰りました お聞きになりますか?』
『今は結構だ それよりも… 「三韓地勢」を完成させる』
※三韓地勢:三国の地理を記録した地図
『完成?』
『そうだ 最終巻を書き上げねばならん』
『完成させるのは もっと先では?』
『あの本の主が現れた』
『主とは?ムンノ公がお書きになったのに 信用できる者ですか?
苦労してお書きになったのに お渡しになるのですか?』
『あきれるほど愚直で 強情な人物だ』
『ムンノ公に似ていますね』
『いいや 私の愚直さと強情さでは 人の心は動かせなかった
私は誇りと名誉を守りたいために現実に背を向けた だが彼は違った』
『つまり?』
『自分の誇りを捨ててでも 民と家門を守る男だ』
(ユシン? ユシンか?)
立ち聞きしている毗曇(ピダム)は驚愕する
自分のものだと思っていた物が 自分のものではないと…
師匠ムンノが言っている…
『それほど信用できる者ですか?』
ムンノは ユシンに最後の意思確認をした時のことを思い返す
「王女様の方法以外に どんな手がある? 答えてみろ」
「……」
「返事をせんか!」
「…降伏します 這いつくばれと言われれば這いつくばり
なめろと言われればなめます その程度の屈辱は何でもないことです」
キム・ユシンは ミシルの前に立った
ちょうどその時 ユシンの背後から徳曼(トンマン)が…
ユシンは徳曼(トンマ)が現れたことに気づいていない
ミシルは 後方の徳曼(トンマン)を意識しながら ユシンと向き合った
すると突然 ユシンはミシルの前にひざまずいた…!
同じ時 ムンノはこの商人の言葉を遮る
『これ以上は聞くな 私はあの男に懸ける
そもそも私などが計画できることではなかった』
自分の前にひざまずいたユシンに ミシルが…
『何の真似ですか?』
『助けを請うております』
『助け?』
『はい』
『……以前 言いましたね 私が獲得できるのはそなたの遺体だけだと』
『今も同じ考えです』
『ではなぜ?』
『あの時 伽耶遺民を歃良州(サムニャンジュ)に追放なさった
今度は彼らを反乱軍と見なし 殺すおつもりでは?』
『ええ おそらく』
『私が死ぬのは構いませんが 私のせいで人が死ぬのは耐えられません』
『だから助けてほしいと?』
『はい 自分がどれほどの器か認めます
自分の器に余るものは 捨てるつもりです
私は… セジュ様の懐に飛び込みます』
『…アーッハッハッハ… 私の懐に飛び込むですって?
私が若ければ 実際に胸に抱いていたのに!』
ひざまずいてうつむいているユシン
ミシルは後方の徳曼(トンマン)に見せつけるように高笑いしながら…
『それでは 私たちの情の証しとして 我が一族のヨンモと婚姻を!』
『……はい そういたします』
それとも 初めから違う運命が予定されていたのか? ユシンか? ユシン…)
ユシンの決意を聞き ムンノは深く考え込む
そこへ 毗曇(ピダム)が現れる
『落ち着いたか?』
『私が心配で本を隠したのですか?』
『…また寺へ行ったのか!』
『あの本は私のものですか? どうなのです』
『愚か者め 本当に愚かな奴だ』
ミシルの執務室
宝宗(ポジョン)に 噛みつくように聞く夏宗(ハジョン)
『叔父上が言ったのですか?』
『はい』
話が見えないミシルが 世宗(セジョン)に聞く
『美生(ミセン)が何を?』
『春秋(チュンチュ)の女性の好みが 一族の中では宝良(ポリャン)らしく
宝宗(ポジョン)とソルォン公に 準備するようにと』
初耳の話に驚くソルォン
『え?うちの宝良(ポリャン)ですか?』
『はい 叔父上がそうおっしゃいました』
『美生(ミセン)が言うならそうなのでしょう』
ほかのどんな才能よりも ミシルは弟美生(ミセン)の女を見る目を信じていた
春秋(チュンチュ)が宝宗(ポジョン)の娘が好みだと聞き
夏宗(ハジョン)は不機嫌さを堂々とあらわす
『私の娘たちも美人なのに なぜ宝良(ポリャン)を?』
『ところで 美生(ミセン)はどこに?』
『今日も春秋(チュンチュ)公と外へ』
『春秋(チュンチュ)公もお楽しみか?』
『大男甫(テナムボ)によれば お2人は魂の友だとか』
『アッハハハ…』
思わず笑い出すミシル
宝宗(ポジョン)以外は全員が苦笑した
その魂の友たちは…
『酒も女も娯楽ではありますが 本当の娯楽とはまさにこれです』
『何です』
『行けば分かります』
美生(ミセン)が春秋(チュンチュ)を連れていく同じ場所へ
ムンノも向かっていた
尾行している毗曇(ピダム)は ムンノに似つかわしくない場所に驚く
『ここはどういう場所です?』
『ウハハハ…お前にも教えてなかったな ご覧あれ 中へどうぞ』
息子の大男甫(テナムボ)を気づかう美生(ミセン)
入ろうとすると 見張りの男が遮る
『お2人の札は?』
『この方は私の連れである!』
『しかし…』
『私を知らぬか?』
『存じております』
『では黙っていろ!』
中に入って行く3人を 毗曇(ピダム)が見ている
札がなければ正面からは入れないようだ
毗曇(ピダム)は 大きな水車をよじ登り 中に忍び込む
『いらっしゃいませ あら美生(ミセン)様』
『かわいい女だ アハハハ… 楽しんでいるか?』
どうやらここは 着飾った女たちが接客する賭博場のようだ
息を飲んで辺りを観察する春秋(チュンチュ)
美生(ミセン)は得意げに遊び方を指南する
『簡単です 酒令具(チュリョング)に書いてある数字は1から7
2つの酒令具(チュリョング)を入れて…』
※酒令具(チュリョング):酒を飲む際 罰を与えるためのサイコロ
『分かった 2から14の数字に賭けるのですね』
『天才だ!私のように頭がいい アーッハハハ… 賭けてください』
『私は5に賭けます』
『やった!!!5です アハハハ… 最初から当てるとは!
春秋(チュンチュ)公は幸運な方だ!次は何に賭けます?』
迷わず9に賭ける春秋(チュンチュ)
『では私は5に賭けます』
『9です』
『アーッハハハ…実に運のよいことです
9は幸運を呼ぶ数字なのかもしれない 今度は9に賭けます』
春秋(チュンチュ)をここへ連れて来る前の美生(ミセン)の動き
仲間にある男の行方を聞いている
『ヨムジョンは?』
『開雲浦(ケウンポ)に』
※開雲浦(ケウンポ):新羅(シルラ)時代の国際貿易港
『そうか ならお前に任せる』
『ご心配なく』
『あそこの太い眉のお方に勝たせてやれ 必ずだぞ』
『分かりました』
その男がサイコロを振っているのだった
『12』
『とても信じられない 今日初めていらしたのに何という強運だろう!
何という幸運な方だ では今度は私が12に賭けます まさか今度も…』
忍び込んだ毗曇(ピダム)は 中の様子に困惑している
(なぜ師匠がこんな所に?)
歩き回っていると 人だかりがしている部屋が…
覗いてみると 1人勝ちしている春秋(チュンチュ)と大喜びの美生(ミセン)
毗曇(ピダム)は身振り手振りでそれはイカサマだと春秋(チュンチュ)に教える
すると春秋(チュンチュ)の方から 知ってる という身振り手振りが返ってきた
あ そう? という顔で笑うと 春秋(チュンチュ)も笑い返す
ミシルは 自室でソルォンと話し合う
『ユシンはどうしている?』
『王女と同じく閉じこもっています』
『我々の意図が分かっていないのでは?』
『それはないでしょう』
『風月主(プンウォルチュ)から落とすには
租税の証書を公開しなければならない』
『しかしその場合 我々はユシンを得られなくなります』
ミシルは いつかユシンから返された言葉を思い返す
「セジュ様 未熟な私にそのようなお言葉をかけてくださり感激でございます
ですが セジュが私を得る方法は1つしかありません」
「どんな方法だ」
「私を殺し 遺体をお持ちください セジュが得られるのは私の遺体だけ
生きているうちには無理です」
話を聞いたユシンの母 万明(マンミョン)夫人は…
『お前を手に入れるためだ
我々を味方につけるための足かせをはめる気だ』
『分かっています』
『すでに承知の上なら私たちは何も言わん お前に任せる 自分で判断しろ』
1人心を痛める徳曼(トンマン)
それを心配そうに見守っている昭火(ソファ)
『王女様…』
『ユシン郎(ラン)の言うことは正しい この道は私が選びました
そしてユシン郎(ラン)はもう1つ 正論を言った
ユシン郎(ラン)を得るために 民を捨てることはできない
民を捨てたら… 彼を手に入れることはできない
むしろ 私を捨てるでしょう それは分かっています どうせ…!』
『王女様… もう 心の中で思うことしかできません
ただひたすら姿を見つめ 声を聞く それしかできません』
苦しんでいるのは徳曼(トンマン)だけではない
ユシンは じっと徳曼(トンマン)の執務室の前で立ち尽くしている
侍女が心配して何度も声をかけるが…
『取り次ぎますか?
先ほどからずっと そちらに立たれたままですが ユシン郎(ラン)…』
『いいのだ』
ユシンはその場を立ち去ると 1人草むらに座り
頭をかきむしる様にして苦しみもだえた
その後 決心したようにソルォンのもとへ…
『来たか』
『セジュにお話が』
『決断したか?』
ユシンが立ち去ってから 徳曼(トンマン)に報告する侍女
『帰ったですって?』
『取り次ぎは?』
『取り次ごうとしましたが…
それをお断りになり 長いこと立っておられ そのまま帰られました』
『取り次ぎも頼まず?』
『ええ』
『長いこと立っていた?』
『はい』
賭博場の前でじっと見張っている毗曇(ピダム)
すると 商人のような男がやって来る
『ムンノ公がお見えです 奥です』
ようやく状況が動いたことで 毗曇(ピダム)も 再び中に忍び込む
『お待たせしました』
『戻ったか』
『開雲浦(ケウンポ)へ行ったのか?』
『はい ピルソンが高句麗(コグリョ)から戻りました
情報をたくさん持ち帰りました お聞きになりますか?』
『今は結構だ それよりも… 「三韓地勢」を完成させる』
※三韓地勢:三国の地理を記録した地図
『完成?』
『そうだ 最終巻を書き上げねばならん』
『完成させるのは もっと先では?』
『あの本の主が現れた』
『主とは?ムンノ公がお書きになったのに 信用できる者ですか?
苦労してお書きになったのに お渡しになるのですか?』
『あきれるほど愚直で 強情な人物だ』
『ムンノ公に似ていますね』
『いいや 私の愚直さと強情さでは 人の心は動かせなかった
私は誇りと名誉を守りたいために現実に背を向けた だが彼は違った』
『つまり?』
『自分の誇りを捨ててでも 民と家門を守る男だ』
(ユシン? ユシンか?)
立ち聞きしている毗曇(ピダム)は驚愕する
自分のものだと思っていた物が 自分のものではないと…
師匠ムンノが言っている…
『それほど信用できる者ですか?』
ムンノは ユシンに最後の意思確認をした時のことを思い返す
「王女様の方法以外に どんな手がある? 答えてみろ」
「……」
「返事をせんか!」
「…降伏します 這いつくばれと言われれば這いつくばり
なめろと言われればなめます その程度の屈辱は何でもないことです」
キム・ユシンは ミシルの前に立った
ちょうどその時 ユシンの背後から徳曼(トンマン)が…
ユシンは徳曼(トンマ)が現れたことに気づいていない
ミシルは 後方の徳曼(トンマン)を意識しながら ユシンと向き合った
すると突然 ユシンはミシルの前にひざまずいた…!
同じ時 ムンノはこの商人の言葉を遮る
『これ以上は聞くな 私はあの男に懸ける
そもそも私などが計画できることではなかった』
自分の前にひざまずいたユシンに ミシルが…
『何の真似ですか?』
『助けを請うております』
『助け?』
『はい』
『……以前 言いましたね 私が獲得できるのはそなたの遺体だけだと』
『今も同じ考えです』
『ではなぜ?』
『あの時 伽耶遺民を歃良州(サムニャンジュ)に追放なさった
今度は彼らを反乱軍と見なし 殺すおつもりでは?』
『ええ おそらく』
『私が死ぬのは構いませんが 私のせいで人が死ぬのは耐えられません』
『だから助けてほしいと?』
『はい 自分がどれほどの器か認めます
自分の器に余るものは 捨てるつもりです
私は… セジュ様の懐に飛び込みます』
『…アーッハッハッハ… 私の懐に飛び込むですって?
私が若ければ 実際に胸に抱いていたのに!』
ひざまずいてうつむいているユシン
ミシルは後方の徳曼(トンマン)に見せつけるように高笑いしながら…
『それでは 私たちの情の証しとして 我が一族のヨンモと婚姻を!』
『……はい そういたします』
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