善徳女王 45話#2 宮殿 脱出!


『全員 捕らえよ!!!』
『お前たち!陛下の許可なく大等(テドゥン)を捕らえるのか!!!』
『かかれーーーっ!!!』

一斉に剣を構え睨み合う

ソルォンが合図の手をかざすと 屋根の上に数十人の射手が…!
動揺する侍政府(シウィブ)たち

『ユシン!閼川(アルチョン)!剣を置きおとなしく従え』
『……』
『剣を置け』

ソルォンがかざした手を下ろせば 一斉に射手が攻撃してくるだろう
緊迫する中 2人は剣を握りしめたまま動かない
ソルォンの手が下りかけたその時 ヨンチュン公が飛び出し
自らの首に剣をあてた

『お前たち!私を捕らえるなら…血を見ることになる!!!』
『何のつもりだ ヨンチュン公!』
『ユシン!閼川(アルチョン)! ここを出ろ! お前たちは動くな!!!』

ヨンチュン公の突然の行動に 誰もが戸惑っている

『私たちが上大等(サンデドゥン)を殺した? どんな手を使ったかは知らない
しかし!お前たちも…大等(テドゥン)を1人殺すことになる!』

怒り心頭で射手に合図を出そうとするソルォンを 石品(ソクプム)が止める

『いけません 大変なことに…』

『ユシン 閼川(アルチョン) 何をしている!早く出て行け!』

ようやくその場から離れようとする2人
それに視線を向けるヨンチュン公
一瞬の隙を突いて石品(ソクプム)がヨンチュン公の剣を叩き落とした…!
それをきっかけに 兵部(ピョンブ)が一斉に斬りかかる

『放せ!』
『放すのだ!』

取り押さえられるキム・ソヒョンとヨンチュン公を見ながらも
ユシンと閼川(アルチョン)はその場から逃げた

『捕らえよ!!!』
『はい!!!』

ミシルの執務室に サンタクが報告に来る
同席しているのは夏宗(ハジョン) 美生(ミセン) チルスク

『インガン殿の侍女と内官(ネグァン)です 55人全員そろっております
誰も消えていません』
『消えた者がいない?』
『どうしました?』
『誰も消えていないのに玉璽(ぎょくじ)が消えた』

チルスクは ハッとする
昭火(ソファ)がどうしてインガン殿にいたのか…

「陛下にお薬をお持ちしたのですが 急に兵が来たので身を隠したのです」

『建物の中に隠してあるのでしょう インガン殿を隈なく探せばいい』
『急いで探すのです!!!外部に気づかれないように』
『はい』

チルスクによってミシルの隠れ家に連れてこられた昭火(ソファ)
部屋の中をあちこち見回っていると 細長い箱を落としてしまう
中からこぼれた1枚の書状
それは ミシルがソルォンから奪うようにして受け取ったものだ
何気なく読んだ昭火(ソファ)は その内容をみて驚きの表情になる
そこへ チルスクの気配がし慌てて書状を箱の中に戻す

『外はどんな様子ですか?』
『……玉璽(ぎょくじ)を出すのだ』
『え? ……玉璽(ぎょくじ)というと?』
『出すのだ』
『な…何のことか分かりません』
『なぜだ!!!なぜ利用されてばかりいる?』
『……』
『陛下の命令のために 何度死にかけた? 死んでもいいのか!』
『それは… あなたも同じです!ミシルの命令ならば命を懸けるでしょう?
命令に従うしかないのです』
『玉璽(ぎょくじ)を出すのだ…』
『嫌です』
『渡すのだ…』
『嫌です!』

昭火(ソファ)の前にひざまずくチルスク

『出さないと死ぬぞ!』
『嫌です!!!』

咄嗟に立ち上がった昭火(ソファ)の裾から 玉璽(ぎょくじ)が転げ落ちる
玉璽(ぎょくじ)を拾い上げ チルスクは行ってしまう
再び閉じ込められた昭火(ソファ)は 外に向かって叫び続けるのだった

兵部(ピョンブ)に追われながら 逃げ続けるユシンと閼川(アルチョン)
風月主(プンウォルチュ)と侍衛府郎(シウィブリョン)ではあっても
多勢に無勢ではどうにもならない
戦いながら閼川(アルチョン)が…

『ここは任せて行け!』
『何を言う 一緒に行くぞ!』
『王女様を助けに行け 早く!!!』

閼川(アルチョン)を残し ユシンは力の限り走った
ユシンが出た門を 閼川(アルチョン)は内側から閉めた
一斉に剣を突きつけられる閼川(アルチョン)だったが
ユシンを無事に逃がすことに成功する

『ユシンを逃がしたと?! あぁ!!!』
『ヨンチュンが自害すると大騒ぎしたせいらしい』
『ソルォンはいつも口ばかりだな!』

美生(ミセン)と夏宗(ハジョン)の悪態に ミシルはじっと目を閉じる
怒り心頭な心を 何とか自らなだめようとしているようだ

『では… ユシンも王女も 両方逃がしたと?』
『……』
『……』
『宮殿を出る可能性は?』
『羽でも生えない限り絶対に出られません!
時間の問題です!絶対に捕まるはずです!』
『母上!宮殿を2重3重に警備しています』
『そのとおりです』

そこへ チルスクが来て ミシルの前に玉璽(ぎょくじ)を置く
それを見たミシルは ようやく笑顔を取り戻す

『どこにありましたか?』
『祖典(チョジョン)です』

※祖典(チョジョン):宮殿の倉庫

『祖典(チョジョン)ですか… いいでしょう』

チルスクは嘘をついた
昭火(ソファ)のことも 昭火(ソファ)が玉璽(ぎょくじ)を持って逃げたことも
ミシルには報告しなかったのである

『これからは国法に基づいて処理を
美生(ミセン)公 大等(テドゥン)逮捕令に玉璽(ぎょくじ)を押し公表しなさい』
『はい 姉上』
『夏宗(ハジョン)はソヒョン公たちを取り調べる準備を
王女の指示だと自白させねば』
『はい』
『早急に便殿会議を開きます 臣僚をすべて呼び集め
元上花(ウォンサンファ)は花郎(ファラン)に総動員をかけなさい』
『はい』

※花郎(ファラン):美しく文武両道に秀でた青年の精鋭集団

『ユシンと王女を宮殿から出してはなりません! 絶対に…』

チルスクは 石品(ソクプム)と徳充(トクチュン)を呼び出した

『郎徒(ナンド)全員に招集令を 王女逮捕令だ…』

さすがに石品(ソクプム)の表情には驚きの色が…
徳充(トクチュン)は ますます困惑する

美生(ミセン)と夏宗(ハジョン)は サンタクを呼び…

『今すぐ すべての臣僚たちに書状を送るのだ』
『明朝までに便殿に集結するように』
『承知しました』

ようやくホッとする美生(ミセン)

『準備万端だ あとは王女さえ捕らえればいい』
『はい 絶対に逃げられませんよ アッハハハ… 王女め』

行きかう見回りの兵を避けながら ユシンは脱出しようと必死だった
そこへ 突然目の前に現れた徳充(トクチュン)…!
兵士たちがすぐ横を駆け抜けていくが 徳充(トクチュン)は呼び止めなかった

『西門へにげてください』

ユシンの方を見ずに 徳充(トクチュン)がつぶやいた
思わぬ助言に これを信じていいものか迷うユシン

『王女逮捕令が出ました』
『……捕まっていないのか?』
『まだ宮殿内に』
『恩に着る』

なぜ徳充(トクチュン)が助けてくれるのか ユシンには分からない
その理由は 徳充(トクチュン)自身にも今は分からないことだった

花郎(ファラン)の待機室で 王女逮捕令の文書を開くチルスク

『陛下が王女逮捕令を出された』
『はい?王女逮捕令?』
『王女が政変を起こした』
『せ…政変を起こした?!!!』

林宗(イムジョン)に続きピルタンも驚く
宝宗(ポジョン)が説明する

『和白(ファベク)会議に武装した兵士を送り
上大等(サンデドゥン)を殺そうとした』
『今すぐに郎徒(ナンド)を集結させ王女を捕らえるのだ』

そこへ 遅れて徳充(トクチュン)が入ってくる

『ちょうどいい 王女逮捕令が出た
花郎(ファラン)を総動員して捕らえよとのご命令だ』

徳充(トクチュン)の助言に従って 無事に西門に逃げたユシン しかし…

(王女様は まだ宮殿のどこかに… 一体どこに行かれたのだ?)

ユシンは 神殿に入った時のことを思い出す

「神殿の東の壁ですが…香の煙が壁側にたなびいていました
空洞があるのでは」

(神殿だ 神殿にある秘密の通路か)

その時 まさに徳曼(トンマン)たちは神殿に向かっていた
逃げ込んだ所が 兵士たちの武器と防具の倉庫だったため
兵士に変装することができたのだった
徳曼(トンマン)と春秋(チュンチュ)を先導するように竹方(チュクパン)が…

『神殿の中に兵がいないか見てきます』

しかし 竹方(チュクパン)が行ってすぐ 同じ格好の兵士たちが…!

『おい 何をしている? 東門に集合だ』
『わ…分かりました』
『待て こっちを向け どこの所属だ?お前たち…』
『東門に集合ですか?』
『何度言わせるんだ! ん? 王女…様?
やっぱり!間違いない 王女様だ!』

徳曼(トンマン)は 兵士の向こうずねを思い切り蹴飛ばした…!
痛さにあえぎながら王女がいたと叫ぶ兵士
徳曼(トンマン)と春秋(チュンチュ)は夢中で神殿に向かって走る

神殿の前まで来て 2人はとうとう取り囲まれてしまう
外の騒ぎに 神殿の脇から顔を出した竹方(チュクパン)

『大変だ どうして見つかったんだ?』

とにかく 秘密の通路を見つけ出し 2人の逃げ道を確保しようと
竹方(チュクパン)は神殿の中に戻る
偶然に開いた隠し扉から 秘密の通路に入って行く

『宮殿にお戻りください 王女様』
『そこをどけ』
『逮捕令が出ています 従ってください』
『下がれ 王女の命令だ!』
『捕らえよ!』
『待て!!!』

そこへ現れたのはキム・ユシン!!!
兵士たちを蹴散らしながら 徳曼(トンマン)と春秋(チュンチュ)のもとへ…!

『ユシン郎(ラン)…』
『ご無事ですか?』
『大丈夫です』

相手が風月主(プンウォルチュ)とあって 兵士たちは及び腰になる

『ケガさせたくない 下がれ!』
『早く捕らえるのだ!』

兵士たちを蹴散らしながら ユシンは2人を西門に連れて行く

一方竹方(チュクパン)は 秘密の通路の中で迷っていた

『ここは何だ… どっちだよ! 分かれ道があるとは聞いてない』

西門に辿りついた3人だったが 春秋(チュンチュ)が捕まってしまう
春秋(チュンチュ)の喉元に剣を突きつける兵士

『観念して 武器をお捨てください』
『王女様 早く逃げてください』

剣を突きつけられながらも 春秋(チュンチュ)は意地を見せた
しかし 春秋(チュンチュ)の命には代えられない
徳曼(トンマン)は 悔しさに歯噛みしながら剣を捨てた
ユシンも 荒々しく剣を放り投げる

そこへ…!!!

次々に矢が射られ 兵士が倒れて行く
驚く春秋(チュンチュ)
徳曼(トンマン)とユシンが見上げると…

手下を引き連れ 塀を乗り越え あっという間に徳曼(トンマン)の横に!

『毗曇(ピダム)!』
『遅くなりました 王女様』

ムンノ譲りの武術で華麗に戦う毗曇(ピダム)
ユシンの援護を受けながら 徳曼(トンマン)と春秋(チュンチュ)を門の外へ…

一方竹方(チュクパン)は 行けども行けども先の見えない
迷路のような通路を歩き回っていた

『何だよ 本当に道があるのか あぁ… あぁ?!!!』

やってられないと よりかかった壁が回転し…!

総動員した郎徒(ナンド)から逃れ やっとのことで門の外に出る
門の外では ヨムジョンが馬を用意して待っていた
迫りくる郎徒(ナンド)は増えるばかり
このままでは 逃げ切ることは難しい

『行ってください』
『ユシン郎(ラン)は?』
『後から追いかけます!』
『早く来てください!』

駆け付けた宝宗(ポジョン)が 今にも逃げ出そうとする徳曼(トンマン)を見た

『宮殿から出すな!!! 何をしている 捕らえよ!!!』

ユシンは背中にその声を聞き 厳しい表情で毗曇(ピダム)を睨みつけた

『何をしている!王女様をお連れしろ!!!!!』

内側から門を閉めようとするユシン
それを止める徳曼(トンマン)

『どうするつもりですか!!!』
『王女様が生きることが 我々の勝利です』
『いけません!』
『生きて私を助けに来てください』
『ユシン郎(ラン)…』
『毗曇(ピダム)王女様をお連れしろ!!!』

『王女様 行きましょう』
『ユシン郎(ラン)!!!ユシン郎(ラン)ダメです!!!門を開けて!!!』

半狂乱に叫び続ける徳曼(トンマン)
毗曇(ピダム)はそんな徳曼(トンマン)を馬に乗せ走った…!!!

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