善徳女王 46話#2 ユシン救出


『セジュミシル 陛下に代わり衛国府令(ウィグクフリョン)として
戒厳令を宣布する!!!
徐羅伐(ソラボル)内で5人以上集まることと
兵部(ピョンブ)の者以外 武器の所有を禁ずる!よいな!』

ミシルが決めた内容が 張り出された

『なぜ5人以上で集まるなと?』

『妙な命令だ』
『一夜にして殺伐とした雰囲気になったな』
『ところでみんな 昨夜の張り紙は見たか?』
『どんな張り紙だ』
『王女様のお名前で出されたものだ』
『徳曼(トンマン)王女?』
『ああ ミシルセジュを捕らえよと書いてあった』
『えぇっ?!!!』
『おかしいだろ?セジュは王女様を捕らえろと言い
王女様は逆にセジュを捕らえろと…』

そこへ兵士が…!

『連行しろ!』
『待ってください!連行だなんて』
『5人以上で集まることは法令で禁じられている!』
『えぇ?』
『連れて行け!』

ミシルの権力が猛威を振るい 徐羅伐(ソラボル)は騒然とする
ソルォンと宝宗(ポジョン)父子は 石品(ソクプム)と朴義(パグィ)を呼び出す

『石品郎(ソクプムラン)と朴義郎(パグィラン)
兵部(ピョンブ)の史(サ)に任ずる』

※史(サ):兵部(ピョンブ)の4番目の官職

『光栄に存じます』
『兵部(ピョンブ)の兵を指揮し臣下や大等(テドゥン)らの屋敷を見張れ』
『はい』
『花郎(ファラン)たちに動きは?』
『特に何も』
『何かあれば すぐに報告をするように』
『はい』

2人が立ち去ると 朴義(パグィ)が…

『臣下や大等(テドゥン)を見張れとは…
本当に陛下がそんな指示を?誰も陛下を見ていない』
『今まで一度でも セジュが間違っていたことがあるか?』

その頃 花郎(ファラン)の待機室では ワンニュンが血相を変えていた

『どういうことだ 父上がどうなったと?!』
『確かにそう聞いた』
『便殿会議に出席された父上が なぜ亡くなるのだ!』
『詳しいことは私にも分からぬ 早く行け』

林宗(イムジョン)に促され ワンニュンは急いで出て行く
ソニョルがピルタンに…

『そなたは何か知らぬか』
『なぜ私に聞く』
『父君のチュジン公は 兵を率いて徐羅伐(ソラボル)へ』
『大事が起こったのだ 当然のことだろう!』

徳充(トクチュン)までもがピルタンに…

『事が起こる前に兵を動かしたのでは?』
『何が言いたい!!!』

声を荒げたものの ピルタンにも父親の行動が腑に落ちなかった

『それより徳充(トクチュン)の父君は大等(テドゥン)ゆえ…』
『私の父も 何も知らぬようだ』
『もしや…』

林宗(イムジョン)が口を開く

『何だ』
『もしや そなたたちの屋敷にも文が?』
『…そなたもか?』
『私にも届いた そなたは?』
『私もだ』

居合わせた全員の屋敷に 矢文は射られていた
徳充(トクチュン)が…

『これまでミシルセジュは 常に大義を守って来られた
上大等(サンデドゥン)の襲撃も
政務から退ける案件が出て 王女様が武力行使に出たのだと だが…』

ソニョルが…

ワンニュン郎(ラン)の父君が亡くなった件といい
宮殿で妙なことが起こっている』
『ああ 列仙(ヨルソン)閣での暴動も 上大等(サンデドゥン)の襲撃も
まだ何ひとつ事実が明らかになっていない』
『虎才(ホジェ)公は まだ徐羅伐(ソラボル)へ戻らぬのか』
『父君に会いに良州停(ヤンジュジョン)へ行かれた
ご意見を伺えたらよいのだが…』

虎才(ホジェ)は 父親と会っていた

『これはミシルセジュからの文だ』
『…王女様の逮捕令ですか』
『妙なことに 徳曼(トンマン)王女様のお名前で もう1通来ている』
『……“ミシルを捕らえよ”?』
『セジュの文には “何があっても動じるな” とあったが…
同時に2つの命令を受け どうすればよいものか』
『なぜ このようなことが…』

ミシルの執務室には チュジン公が呼ばれている
ソルォンも同席し まずはミシルがチュジン公の労を称える

『チュジン公のおかげで 徳曼(トンマン)王女の手の者による
上大等(サンデドゥン)殺害を阻止できました』
『私は徐羅伐(ソラボル)の近くで待機していただけです』
『いいえ それがどれだけ心強かったか』

ソルォンがミシルに…

『すぐに大等(テドゥン)に任命なさり徐羅伐(ソラボル)へお召ください』
『もちろんです』
『ですが 私の拠点はあくまでも上州停(サンジュジョン)ですので…』

キッと睨むミシル

『徐羅伐(ソラボル)にいる他の貴族たちも
地方の拠点に兵を置き 徐羅伐(ソラボル)に来ています』
『ええ… 確かにそうです』
『すぐに手続きを!』
『はい』

今や 自分の言葉に寸分であろうと異を唱える者を許さないミシルだった
退席したチュジン公は 息子ピルタンに会う

『大等(テドゥン)に任ぜられた…』
『では父上も徐羅伐(ソラボル)に住まわれるのですか 兵たちは?』
『徐羅伐(ソラボル)での武器所有は禁じられておる
兵は上州停(サンジュジョン)へ帰さねば』
『つまり…』
『私の力を封じるのが目的だ』

チュジン公は 再び徳曼(トンマン)の言葉を思い返す

「ミシルは王になる気です」

チュジン公が退席した執務室ではミシルが…

『徐羅伐(ソラボル)周辺に兵を持つ者は 皆 呼び寄せねばなりません』
『彼らと兵を切り離しておくのですね』
『ええ 人は権勢に追従するもの
勢力を見せつければ 陛下も譲位なさるでしょう』
『はい』
『問題は徳曼(トンマン)…あの者だけです』
『チルスク公に何か考えがあるようです』

宮殿内から運び出される遺体は 遺体の捨て場に放り出される
そこから 1人の男が起き上がり フラフラと歩き出した
その様子を窺っているチルスクとサンタク

『あの者か』
『はい ヨムジョンの部下です
あの者が死んだと思ったと見せかけ ここに捨てました』
『怪しまれなかったか?』
『全員で完璧にだませたはずです』

尾行されているとも知らず 男はヨムジョンの根城に辿りつく

『ヨムジョン様!』
『なぜお前が…外を見て来い!尾行がいるかもしれない!』

ミシルを裏切ったヨムジョンは 常に怯えていた
手下が外の様子を見に行くが 見つかるようなチルスクではない

翌朝 雪地(ソルチ)が月夜(ウォルヤ)に…

『牢の襲撃は非常に危険です 他に方法は?』
『ユシンや閼川(アルチョン) 何としても皆 助け出す』

すると 見張りの兵が怪しい気配に大声を出す…!
怪しい者とは 昭火(ソファ)を連れて現れた竹方(チュクパン)だった
驚く月夜(ウォルヤ)と雪地(ソルチ)

『月夜郎(ウォルヤラン)…』
『竹方(チュクパン)ではないか!』

落ち着くなり 食事にかぶりつく竹方(チュクパン)
昭火(ソファ)はミシルの隠し部屋から持ち出した書状を大事そうに抱えている

『王女様はどこにいらっしゃいますか』

昭火(ソファ)の質問に答える春秋(チュンチュ)

『あとで毗曇(ピダム)が案内します』
『まずはお食事を』

片時も手離そうとしない書状を 毗曇(ピダム)がじっと見つめる
ようやく会えた昭火(ソファ)の手を取り喜ぶ徳曼(トンマン)

『母さん!』
『徳曼(トンマン)!』
『陛下はどうされましたか?』
『陛下は…』

昭火(ソファ)の様子から 最悪の事態を考えてしまう徳曼(トンマン)だった
一方ヨムジョンは 牢襲撃の計画案を月夜(ウォルヤ)と雪地(ソルチ)に見せる

『見てみろ どうだ』
『悪くない』
『ええ これ以上の策はないかと』
『ああ そうだとも ウハハハ…』
『よし 今夜決行しよう』

しかしその動きは すべてチルスクに監視されていた
死体の捨て場に身を横たえる月夜(ウォルヤ)たち
不思議そうに監視しているチルスクとサンタク

『何してるんだ?』

やがて死体を捨てに 荷車を曳いて兵士たちがやって来る
月夜(ウォルヤ)たちは素早く兵士たちを倒し 代わりに荷車を曳き宮殿へ…
チルスクは あえてそれを黙認し まずはミシルに報告した

『ユシンと閼川(アルチョン)の救出に?』
『はい 兵になりすまし牢へ潜入を』
『人数は?』
『6人です』
『…ユシンだけ渡せ』
『承知しました』

牢のあちこちで 拷問された者たちが息絶えて行く

『おい 死んだんじゃないか?キルス!』
『来てくれ!仲間が死んだ!』

そこへ 瀕死のユシンが…!

『あぁ!ユシン郎(ラン)!!!』
『ユシン郎(ラン)しっかり!!!』
『静かにせよ!』

見張り兵の後ろに控えているのは 死体を運ぶ兵になりすまし
入り込んだ月夜(ウォルヤ)たちだ

『牢へ入り 死亡を確認せよ』
『はい』

雪地(ソルチ)に気づき驚く高島(コド)たち
瀕死のユシンをかかえ 雪地(ソルチ)は大声で叫ぶ

『死んでいます!』
『死体を荷車に積め!』
『はい!』

その頃ヨムジョンは 徳曼(トンマン)へ途中経過の報告をしていた

『ひとまず兵部(ピョンブ)への潜入には成功したようです』
『そうか』

他の死体と一緒に 荷車まで運ばれたユシン
牢の見張り兵が確認しにやって来る

『積みました』
『全部で4体だな』
『そうです』

宮殿を出る荷車
その後を チルスクの指示の下 サンタクら兵士が尾行していく
そうとは気づかない月夜(ウォルヤ)たちは 徳曼(トンマン)のもとへ…!
気がはやるサンタクは…

『兵をばらして追いますか?』
『兵は分散させるな 狙いは徳曼(トンマン)王女だ』
『では…』
『全員でこの場所を包囲せよ』
『はい』

再会した徳曼(トンマン)とキム・ユシン

『王女様!』
『ユシン郎(ラン)!』

しかしその直後 物々しい騒ぎに 騒然となる
次々に火矢が射こまれ 根城のあちこちから火災が発生する
赤い装束の兵士がなだれ込み 闇夜の大乱戦となった

『王女様 大変です! 敵に取り囲まれました』

ひとり 執務室で事が終わるのを待っているミシル

(王女様 そろそろ決着をつけましょう)

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