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善徳女王 38話#1 穀物高騰!

『この本は… これはお前の物か?』 師匠ムンノが長い歳月書き綴った本を破り 山ほどの紙風船にした青年 毗曇(ピダム)は呆れて声も出ない しかし この青年が亡き天明(チョンミョン)の息子 春秋(チュンチュ) だとは知る由もない 『ところで… お お前は何者だ』 剣を突きつけられて声が上ずる 『何歳だ? “何者だ”だと?』 床に剣を突き刺し 毗曇(ピダム)は春秋(チュンチュ)に掴み掛かる 『何をするんですか やめてください!ちゃんと話し合いましょう』 『分からないのか 折り紙なんかしやがって! この本がどういう物か分かっているのか?この野郎!』 『公子様!』 布団にくるまれて棒で叩かれている春秋(チュンチュ)を見て 仰天するヨムジョン しかしそんなことはどうでもいい毗曇(ピダム) ヨムジョンのみぞおちに一撃を食らわせ 春秋(チュンチュ)を叩き続ける 『謝るから許してくれよ!あぁ!…あぅ!私が悪かった!すまない 殴るのはやめてくれ!』 結局 正座して紙風船を1個ずつ広げきれいに重ねていく春秋(チュンチュ) 『あいつは誰だ?』 『いや こちらの公子様に誰だなどと…』 『ぶっ殺すぞ』 『まったく何なんだよ…』 毗曇(ピダム)に ニッコリと笑いかける春秋(チュンチュ) 『ちゃんと戻せ』 ニッコリを返しながら 返り血だらけの顔で脅す毗曇(ピダム) 春秋(チュンチュ)はあきらめて作業を続ける 『あいつは何者だ?』 『だから公子様は…』 春秋(チュンチュ)を残し 外に出る2人 『あの方は金春秋(キム・チュンチュ)だ』 『キム・チュンチュ?何者だ?』 『天明(チョンミョン)王女の息子だ』 『マヌケという噂の?』 『マヌケかどうか知らんが 間違いなく王族だ 真智(チンジ)王が廃位されなければ聖骨(ソンゴル)だった』 ※聖骨(ソンゴル):父母共に王族である新羅(シルラ)の身分制度の最高位 毗曇(ピダム)は ふたたびヨムジョンののど元に剣を… 『あいつに 師匠を殺して本を奪えと言われたのか?それを信じろと?』 『誤解だよ 俺がただ春秋(チュンチュ)公に読むように勧めた』 『どうして?』 『俺はお前の師匠とは考えが違う あ...

善徳女王 37話#2 ムンノ死す

『お前は言わば 柄のない剣も同然 触れる者はケガをするだけだ 誰かがお前の柄になってくれればと願ってきた だが 誰にも無理なら 私の手でその剣を折るしかない 本当にそれを望むのか?』 『本当に… そうお考えなら… 折ればいい 折ればいいではないですか! 師匠の教えは 決して忘れません』 師匠と弟子との 熾烈な戦いだった その戦法 剣法 拳法にいたるすべてが同じだった 相手の出方が手に取るように読める2人に 決着は難しい その時…! 木の陰から何者かが吹き針を ムンノ目がけて放った 首筋に痛みを感じて手をやるムンノ 『師匠!!!』 毗曇(ピダム)の剣ではなく ムンノは毒針に倒れた 体に毒が回り切る前に…!毗曇(ピダム)はムンノを背負って走った 置き去られた包み… 三韓地勢のことなど頭になかった 毒針を放つ者を雇ったのは ヨムジョンだった 誰もいなくなった山中に ポツンと置き去られた包みを ヨムジョンが持っていく… 必死に走る毗曇(ピダム)は 草につまづき転んでしまう 地面に転がるムンノ 毗曇(ピダム)は 這いつくばりムンノのもとへ 『師匠…』 『もう無駄だ』 『治療をすれば間に合います!』 『毗曇(ピダム)… なぜ本を持って行かず 私を背負い走って来た?』 『……』 『なぜだ』 毗曇(ピダム)は答えられなかった なぜかと聞かれても 自分でも分からないのだ 師匠を殺しても奪いたかった本だったのに… 『私は至らぬ師匠だった』 『師匠…』 『お前の言う通り…お前を恐れていたのかもしれん お前の気性を配慮して…正そうと思わずに ただ押えつけていた すまない… 最後に… お前の心根を知った だがもう遅い… せめて礼を言う…』 虫の息の中 ムンノは懐から書状を取り出し 毗曇(ピダム)に渡す   『徐羅伐(ソラボル)へ戻るのだ 花郎(ファラン)になれ…』 ※徐羅伐(ソラボル):新羅(シルラ)の首都 現在の慶州(キョンジュ) ※花郎(ファラン):美しく文武両道に秀でた青年の精鋭集団 『師匠…』 『ユシンに従って… 王女様をお助けしろ 間違いなくお前は… 私の弟子だ』 『……師匠?』 ムンノは 毗曇(ピダム)の胸にもた...

善徳女王 37話#1 ユシンの婚礼

『はい セジュの懐に飛び込みます』 『アッハッハッハ… 私の懐に飛び込むですって? 私が若ければ 実際に胸に抱いていたのに!!! では 私たちの情の証しとして 我が一族のヨンモと婚姻を!』 ※セジュ:王の印を管理する役職 ヨンモとは 夏宗(ハジョン)の娘である つまりミシルの孫にあたる 『はい そういたします』 衝撃の婚姻について 徳曼(トンマン)はミシルと対峙する 『一族のご婚儀をお祝い申し上げます』 『はい ユシン郎(ラン)自身が強く望んでおりますので』 『生きるためです』 『立派な風月主(プンウォルチュ)になるよう支援します』 ※風月主(プンウォルチュ):花郎(ファラン)の首長 『そうすべきです 武術の腕も人格も優れた方ですから』 『しかし私は これでユシン郎(ラン)が私のものになるとは思っていません』 『はい私もユシン郎(ラン)を奪われぬように努めます 必死に』 『必死に?よく分かっておられますね』 『私の相手は手強いですから』 『私は 陛下に仕える家門の出ですので 幼い時から殿方に尽くす術を教わって来ました』 『はい チヌン大帝 トンニュン太子 真智(チンジ)王に仕えていたそうですね 世宗(セジョン)公やソルォン公 それに名も知れぬ村人にも』 『おかげで 殿方の心を捉えるのに苦労したことはありません でも 聖骨(ソンゴル)の王女様は 立場上ご無理でしょう 必死になるしかありませんね』 ※聖骨(ソンゴル):父母共に王族である新羅(シルラ)の身分制度の最高位 『いつも心からの忠告を ありがとうございます』 ミシルの執務室から出てくると 外にはユシンが待っていた 無視して行こうとすると ユシンは徳曼(トンマン)の前に立ちふさがる 『いずれにせよ王女様と私は…』 『ユシン郎(ラン)のおかげで悟りました!民を守ることは簡単ではないと ミシルが伽耶の民を人質にしているのでは ユシン郎(ラン)が妥協する以外に 伽耶の民を守る方法はない』 ※伽耶:6世紀半ばに滅亡 朝鮮半島南部にあった国 『驚くべき悟りです!本当に他に方法はないのですか?』 『それは分かりません ですがこれだけは分かっています “檀君(タングン)王以来 分裂してい...

善徳女王 36話#2 ユシンの降伏

(徳曼(トンマン)王女には天授の徳があるのか 私が間違っていたのか? それとも 初めから違う運命が予定されていたのか? ユシンか? ユシン…) ユシンの決意を聞き ムンノは深く考え込む そこへ 毗曇(ピダム)が現れる 『落ち着いたか?』 『私が心配で本を隠したのですか?』 『…また寺へ行ったのか!』 『あの本は私のものですか? どうなのです』 『愚か者め 本当に愚かな奴だ』 ミシルの執務室 宝宗(ポジョン)に 噛みつくように聞く夏宗(ハジョン) 『叔父上が言ったのですか?』 『はい』 話が見えないミシルが 世宗(セジョン)に聞く 『美生(ミセン)が何を?』 『春秋(チュンチュ)の女性の好みが 一族の中では宝良(ポリャン)らしく 宝宗(ポジョン)とソルォン公に 準備するようにと』 初耳の話に驚くソルォン 『え?うちの宝良(ポリャン)ですか?』 『はい 叔父上がそうおっしゃいました』 『美生(ミセン)が言うならそうなのでしょう』 ほかのどんな才能よりも ミシルは弟美生(ミセン)の女を見る目を信じていた 春秋(チュンチュ)が宝宗(ポジョン)の娘が好みだと聞き 夏宗(ハジョン)は不機嫌さを堂々とあらわす 『私の娘たちも美人なのに なぜ宝良(ポリャン)を?』 『ところで 美生(ミセン)はどこに?』 『今日も春秋(チュンチュ)公と外へ』 『春秋(チュンチュ)公もお楽しみか?』 『大男甫(テナムボ)によれば お2人は魂の友だとか』 『アッハハハ…』 思わず笑い出すミシル 宝宗(ポジョン)以外は全員が苦笑した その魂の友たちは… 『酒も女も娯楽ではありますが 本当の娯楽とはまさにこれです』 『何です』 『行けば分かります』 美生(ミセン)が春秋(チュンチュ)を連れていく同じ場所へ ムンノも向かっていた 尾行している毗曇(ピダム)は ムンノに似つかわしくない場所に驚く 『ここはどういう場所です?』 『ウハハハ…お前にも教えてなかったな ご覧あれ 中へどうぞ』 息子の大男甫(テナムボ)を気づかう美生(ミセン) 入ろうとすると 見張りの男が遮る 『お2人の札は?』 『この方は私の連れである!』 『しかし…』 ...

善徳女王 36話#1 徳曼(トンマン)の涙 ユシンの決意

『風月主(プンウォルチュ)になる者は すべての疑いを晴らす義務があります 遺民の多くは ユシン一族の土地にいると 兵部(ピョンブ)の調査で発覚しました ユシン郎(ラン)遺民が追放されたのは 神の啓示のせいだけではない 復耶会との関係が疑われたためです なぜ彼らがユシン郎(ラン)の土地にいるのです? 復耶会が活動を始めたとの情報もある ユシン郎(ラン)は伽耶出身です これらすべてを 説明していただけますか?』 ※風月主(プンウォルチュ):花郎(ファラン)の首長 ※伽耶:6世紀半ばに滅亡 朝鮮半島南部にあった国 ソルォンの追及に キム・ユシンはだたこう話すだけだった 『彼らは 当家の土地を耕しているだけです やせ地の者に仕事を与えるのは罪ですか?』 到底 納得がいく答えとは言い難かった ユシンは ソルォンと2人だけで話す 『不当な扱いです すべて状況証拠に過ぎません』 『そのとおりだ だが どの状況も明白な事実だ これらの事実を 皆がどう判断するか予想はつくであろう』 『では どうしろと言うのです』 『道を模索しよう そなたが風月主(プンウォルチュ)となり 疑惑も晴らすような方法を探すのだ』 徳曼(トンマン)もまた ミシルに抗議していた 『これは策略です 状況証拠だけで 風月主(プンウォルチュ)になるのを阻止できると?』 『不審な状況があれば 問題にされて当然のこと ユシン郎(ラン)の潔白を証明できますか?ユシン郎(ラン)を信じますか?』 『……』 『王女様はユシン郎(ラン)を信頼されているのでしょうが 彼を単なる個人と見てはなりません 伽耶とは 伽耶の民とは ユシン郎(ラン)にとって強みであり弱みなのです ゆえに ユシン郎(ラン)だけではなくユシンの勢力への信頼は別問題 2つを切り離して考えるのも無意味です ユシン郎(ラン)は伽耶を背負っていく人物です 彼らを犠牲にはできない運命です』 『それで どうしろと言うのです』 同じ答えを ソルォンがユシンに言い渡す 『復耶会の長を始末すればよいのだ』 『私は復耶会の長など存じません』 『知らないかもしれないが 復耶会の長の首を持って来れば この問題は解決する そうすれば風...